とあるゲーム好きなチームメンバーからの一声をきっかけに、FactorioというPCゲームをみんなでやる「モブFactorio」なる会を開催しました。命名こそ「モブ」と言っていますが、ゲーム好き4人が集まってわいわいゲームしようという軽い気持ちでの開催でした。
が、これが想像以上にモブの良さを実感でき、ちょうど良いモブ入門の場となったので様子をレポートします。

Factorioとは

Factorioは無限に広がる2D世界に自動化された工場を建設し、次第に複雑になる様々なアイテムを製造するゲームです

何もないだだっ広い世界で石炭を掘ったり資材を集めるところから始まり、徐々に蒸気機関やベルトコンベアなどの科学の力を使いながら効率的な工場を作っていく……というようなゲームでした(初プレイした私の目線での概要なので、間違っていたらそっと教えてください)。

第1回目の様子 - ゲームを楽しむと自然にモブになる

モブ風景

業務後にふらっと集まり、出前をとって準備完了です。
参加者は「Factorioに興味はあるものの買おうとまでは思っていない」状態だったので、ハマっている人のPCを借りて皆で交代しながらやる方針に。ゲームを持っている人の家に集まって遊ぶ構図に近いですね。結果的に操作するプレイヤー1人(ドライバー)と周りでとやかく言う3人(ナビゲーター)という体制ができあがり、自然とモブのかたちが出来上がりました。

モブらしくやることを意識したわけではなかったのですが、他にも自然とモブの良い部分やプラクティスが実践されていたので紹介します。

  • ドライバーはある程度の時間で交代していた
  • ドライバーは操作方法や意図がわからないときに都度手を止めて質問していた
  • ドライバーは何をつくるか・どうつくるかを合意をとりながら進めていた
  • 経験者は常にナビゲーターに徹していた
  • 経験者は「説明をする部分」と「実際に操作して学んでほしい部分」を意識してナビしていた
  • 知識のないナビゲーターは質問をすることで場の理解を深めることに貢献していた
  • モブ用PCを用意していた
  • ドライバー交代時に席を変えることで、スムーズに交代できていた

モブが終わった時点でFactorio初体験のメンバーの知識レベルが揃っていて、次回何を作るかの方針を決めて解散する運びとなりました。みんなでゲームを楽しむために自然としていたことばかりなのですが、モブの視点で見るととても効果的な進行になっていました。実は私たちの心の中にはモブの心得が根付いているのかもしれませんね。

第2回目の様子 - ペアプロとの比較でわかること

参加者はすっかりFactorioが気に入り、第2回目は全員が購入・自身のPCにインストールしてきた状態での開催となりました。
早くプレイしたい気持ちが高まり、今回は4人全員で協力プレイをすることに。前回のように1人のキャラクターを交代で操作するのではなく、同じ世界に4人のキャラクターが共存し同時にプレイする形式ですね。

経験者の人はプレイヤーとして参加しつつもほとんど手は動かさず、現場監督のように他3人のプレイの様子を伺ったり手助けをしたりしていました。結果的に「経験者とのペアプロ × 3組」という構図になりました。

3組のペアプロによる分業の良さが見えた場面

  • 「鉄を用意する人」「電柱を建てる人」といったように分業することで早く発展した
  • ドライバー交代がなかったため、未経験者3人は操作方法を忘れる瞬間がなかった
  • コツを掴んだ未経験者はひとり立ちしどんどん作業を進めていけた

モブプロとの比較になった場面

  • 互いの作業が知らず知らずのうちに進んでいて、変化に追いつけない場面があった
    • 「それは作り途中のラインなので、あちらのラインを使ってください」
    • 「あれ、ここにあった掘削機ってどこにいったんですか?」
  • 全員の合意なく作られたもの・消費された資源などがあった
  • コツを掴んだ人とそうでない人で作業進捗に大きな差が出た
  • 人によりこだわりポイントが違い、作り方の方針に差が出た
    • 「電柱は垂直に並べたかったんだけどな…」
    • 「その生産ラインは右に伸ばしていきたかったんだけどな…」
    • 「機械に頼らず手で掘ることで愛情が宿るんだ…!!」

第2回目は分業した甲斐あって「作ったものの総量」という点では前回以上に成果がありました。しかし全員で合意のとれているものや全員が仕組みを理解しているものはあまり多くありませんでした。また参加者のプレイヤーとしての成熟度に差が出始めました。

これは単なるゲーム会なので、成果の有無に関わらず全員が楽しめたので第2回目も大成功と言えます。ただ、ちょっとだけ業務的な視点で見てみると、合意・レビュー・情報共有の不足が確かにあり、これを埋めようと思うとそれなりの時間を使うことになるでしょう。これはまさしくモブをすることで得られるメリットの裏返しで、モブの良さを逆説的に実感できる会となりました。

おわりに

あくまでゲーム会なので楽しむことが最優先で、実際の業務とは意識や行動が違う部分もあったと思いますが、それでもモブの良さを体感するという観点でも価値のある場になったと感じています。

モブに興味がある方や始めてみたいと感じている方は、モブについてもう少し体系的に紹介している「モブプログラミング・ベストプラクティス」読んだのでモブプロの魅力と始め方をまとめるの記事も併せてご参考いただければと思います。ハッピーモビング!

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ちなみに記事内写真のマスクに使ったイラストはLINE絵文字のちゃんくろ絵文字です。我が家のねこがモデルです、よければご購入ください。