かつてスクラムガイドにも載っていましたが、Daily Scrum でよく使われる「3つの質問」というものがありました。大雑把に書くと以下の3つです。

  • 昨日何をしたか
  • 今日何をするか
  • 障害や困っていることはあるか

私達のチームも今までこれを実践してきましたが、作業報告・進捗報告を一方的にしているだけで、誰が聞いているのかも誰の役に立っているのかも分からないと感じることがしばしばありました。

その原因はいろいろあります。
例えばその一つになり得るものを挙げると、当時私たちのチームは「1つの仕事を全員で片付ける」ということができていませんでした。フロントエンドエンジニアは開発案件のフロントエンドのみを対応していて、そうすると次第にフロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアとで進行する案件がズレてきます。その結果他の人の仕事への関心が薄れていったり、内容を聞いても理解できず他人事となったりしていました。

もちろんこういった一つ一つがチームの課題であって、これを改善することが根本的には必要です。だけれどもそれには時間がかかるし、組織的な都合や壁などもあります。そのすべてが解決されるまでの間ずっと Daily Scrum が役立たない時間になってしまうのは嫌ですよね。

そこで「互いの業務内容は40〜70%程度の理解でも、お互いの状況を適切に理解しあってスプリントゴールへ向けた再調整を実践する」ための3つの質問を再考してみました。

  • 昨日は何%くらいのパフォーマンスを発揮できたか
  • その要因は何だと感じたか
  • スプリントの計画に変更は必要そうか

1つずつ意図を説明していきます。

1. 昨日は何%くらいのパフォーマンスを発揮できたか

簡単に言えば自己採点です。「仕事が進んだかどうか」または「やったかどうか」ではなく、どれくらいのパフォーマンスを発揮できたかを伝え合います。

たとえば連日100%のパフォーマンスを発揮していると伝えていたがスプリント終了時にプランニングした内容が完了しなかった場合、そのプランニングには無理があった可能性があるでしょう。
たとえばパフォーマンスが50%の日が続くメンバーがいる場合、スプリントゴールが達成されない可能性があるので何らかのリカバリーが必要だろうと気付けるかもしれません。

互いの仕事内容を詳細まで正確に理解しあっていなかったとしても、この質問であれば進行度合いをざっくりと把握し合えるのではないかと思います。

2. その要因は何だと感じたか

パフォーマンスが左右される要因は人によって違いますし、状況によっても違います。ミーティングが多くて作業時間が細切れになることが影響するかもしれないし、花粉症のせいで集中が途切れるかもしれないし、明日に控えたプロポーズのことで頭がいっぱいになっているかもしれません。

プライベートな要因すべてを赤裸々に語る必要はないですが、負荷やストレッサーを知り合うことでフォローし合える場面は確実に増えるでしょうし、互いがハイパフォーマンスを維持できる状況を理解しあうことで環境づくりに貢献し合えるはずです。この質問は Daily Scrum の回数を重ねるごとに価値を発揮することでしょう。

3. スプリントの計画に変更は必要そうか

言い換えれば「このままのペースでスプリントゴールを達成できそうか」ということです。ただ、「達成できそうか」と聞かれると反射的・楽観的に「大丈夫」と答えたくなってしまうような気がするので、少しでも多くの可能性を考えやすくなればと思い「変更は必要そうか」という問いにしてみました。

パフォーマンスがいかほどかとその要因が何かを明らかにした後、それらを踏まえてスプリントの計画が達成できそうかを見つめ直すことができれば、Daily Scrum の目的は果たせるのではないでしょうか。

おわりに

現時点では「再考」しただけで「実践」していません。試してみたら全然駄目かもしれませんが、近いうちに実践しレポートしてみようと思います。